今日の個展巡りで、胸に打たれたことがありました。
愛知県稲沢市「ギャラリーあん」さんで行われている「谷本
貴 作陶展」を訪れたところ、
ご本人の新作と合わせて展示室中央にご本人（貴さん）・お父さま（谷本景氏）･お祖父]
さま（谷本光生氏）三代の大きさの違う伊賀大壷が展示されていました。そして、その傍
らにお祖父さま「光生」さんの端正な字の書置きが添えられていました。「光生」さんは古
伊賀焼の研究をもとにした現代の伊賀焼の創作で素晴らしい作品を数々生み出した作
家さんです｡私は､その「書置き」の内容に胸を打たれました。貴さんのご了解をいただき
ましたので、引用させていただきます。
私は天の思し召しで人生を終ることができます 人の体はマクロ宇宙非億の中の
ミクロの一点です 死んでからも位置が変るだけで宇宙界に皆さまと一緒に居るこ
とには変りありません 私は焼物の他にいろいろ制作できたことをとても良かった
と思っております 私が死んだ後もそれらの作品が皆さんや後の世の人達にも接する
ことができるからです 私という存在は四十億年とぎれることなく遺伝子が複製さ
れ続けて生れたものです 私に祖先からいろいろな経験や蓄積が潜んでいたように
私の総てが遺伝子として子孫に未来永劫に伝わって行くでしよう わたしの一生を
振り返りますと長かったようでもあり瞬時の感もあります
その間 たくさんのすばら
しい知人 友人 後継者 親戚の方々とご縁を得ましたけとは
嬉しく幸せなことでした
最後に厚い感謝のお礼とお別れのご挨拶を申し上げます
有難とうご座いました さようなら
谷本光生
ご病気でご自身の死期を悟りながら、ご高齢にもかかわらず尚、凛としてご自身の生涯
を振り返られ、感謝の言葉をご自身の直筆で書き残された谷本さん。今年２月２９日に
９６才で旅立たれたとのこと。ご冥福をお祈り申し上げます。
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